クロム・マグナⅣ 片恋☆ラプソディ
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クロム・マグナⅣ 片恋☆ラプソディ
◆◆◆プロローグ◆◆◆

「いよっし! これで完成、俺特製ギフトチョコレートアソート!」
アキラ・マスグレイヴは大量の箱詰めされたチョコレートを積み上げ、
満足そうに胸を張った。
ここはアキラのヒミツのキッチン。
彼は数日間、ここですさまじい量のチョコレートと戦っていた。
手伝いを買ってでた料理部所属の女子3人も、
疲れ果てて椅子に座り込んでいる。
「ねえ、アキラくん。いったいいくつ注文受けたの?」
「100から先は数えるのやめちゃったなー」
「す、すごい人気だね……」
「料理人冥利に尽きるよな! いやー、このくらい大量に作れると気分がいいぜ!」
実のところ彼女たちが手伝ったのは箱詰めくらいで、
中身のチョコレートに関しては全てアキラが作り上げていた。
ただ、その量は趣味の範疇をはるかに越えていた。
「私、キロ単位でチョコレート溶かしてるの初めて見た」
「全部のカロリー合計したら2、3年何も食べなくても良さそうな気がする」
「チョコこわい」
と、料理部女子3人は口々にその様子の感想を述べる。
「よし、それじゃあ俺は注文してくれた人達に、
チョコレートを配りに行くぜ! それと……」
言いながら、アキラは小さな包みを3つ取り出すと、
それを料理部女子3人それぞれに渡す。
「なにこれ?」
「手伝ってくれたお礼! 普通のチョコには飽きただろうから、塩チョコ作っといた」
アキラは歯を見せながら満面の笑みを浮かべる。
「ありがとな、みんな」
「……! アキラくん……!」
トクン、と料理部女子3人の胸が高鳴り、
笑顔のアキラがなんだかすごく格好良く見えた。
そう、今日は恋の生まれる日。様々な恋模様が、
チョコレートによって生まれる日。
そして当然、クロム・マグナ学園の生徒会でも、
複雑に絡み合った恋の物語が始まろうとしていた……!!
※話の最初に戻る
<登場キャラ>
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イツキ | リンカ | ニコラ | ヴォルフ |
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シャーリー | アーシア | サロメ | MIU☆MIU |
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ジョージ | エミリア | アキラ | ダンケル |
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第1話 プロローグ | 第2話 恋色の学園 | 第3話 ヘヴィ・ラヴ | 第4話 戦慄のラプソディ | |||||||||||||||||||
第5話 驚愕のオシャレ | 第6話 やっぱり黒幕は | |||||||||||||||||||||
< AfterStory...... > (※イツキから開始し、右端まで読み進んでから、 下段に流れる事で時系列になると思います。) | ||||||||||||||||||||||
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◆◆◆エピローグ◆◆◆

チョコと恋の騒乱が巻き起こってから、数日経ったとある放課後。
生徒会のメンバーで、ダンケルの持つ秘密を知る唯一の人物となったシャーリーは、
秘密裏にダンケルの魔力の根源を探る装置
──彼女は「インパクター」と命名していた──
を制作する傍ら、ある少女たちに連絡を取っていた。
ひとりは同じ生徒会の庶務を担当しているノア・アームストロング。
そしてもうひとりは学園内の警備を担当するカエデ・ジングウジ。
今日、二人を例の空き部室へと呼び出したシャーリーは、
ひと通りの流れを話した上で念を押して言った。
「この話、絶対人に言わないで欲しいの」
「トーゼンですよー! こんなこと流石に喋れないですって!」
「しかしシャーリー、なぜ私たちなんだ?」
「それは……お二人にしか頼めないことだからです」
シャーリーは、インパクターの試作品、「プロトインパクター」を
既に完成させており、それによって身近な人々の魔力をこっそり調べていた。
そのことは既にノアとカエデには知らせてあり、
彼女たちはその上で協力してくれている。
「ノアちゃんの魔力は、とにかく瞬間的な出力が高いの。
それだけ大きな剣を扱えるのは、筋力にパワーのある魔力を乗せて、
補助してるから」
「へー! 知りませんでしたぁ!」
「カエデ先輩の魔力は……表現しづらいんですけれど、とにかく固いんです。
防御に特化した魔力のタイプで、相手によってそれを使い分けてる」
「なるほどな」
納得する二人を前に、壁にあるホワイトボードに絵を描きながら、
シャーリーは説明を続ける。
「プロトインパクターは、『魔力のタイプを調べる』ことしかできませんけど、
本番のインパクターは使用者の魔力を使って
『その根源を掘り返す』こともできます……
でも、それは私の魔力じゃ無理なんです」
「なぜだ?」
「魔力には魔力でしか触れませんし、
私の魔力じゃ学園長の魔力に太刀打ちできないんです。
……だから、二人の力が必要なの」
言いながら、シャーリーは逆三角形のドリルのような図形と、
それを上から押しつけるような矢印をホワイトボードに描く。
そのドリルが進む先には、『学園長の魔力』という表記があった。
「カエデ先輩の魔力でドリルを作って、
それをノアちゃんの瞬発力を使って一気に押しこむ。
学園長の魔力──その根源に至る方法は……これしか多分、方法が無いの」
そこで一度言葉を切り、
シャーリーは二人に向かって強い意志の宿った瞳を向ける。
学園長は言った。君にしかできないことがあると。
先輩たちが卒業するまでの時間を守るために、
ひいてはこの学園の未来の為に力を貸して欲しいと。
私と君とで『未来を創る』のだと。
その言葉に、彼女は震えた。
恐怖からではなく、単純に彼女の好奇心が武者震いをした結果だった。
なぜなら、幾つもの発明品を作ってきたシャーリーも、
『未来を創る』のは初めてだったから。
断る理由は一つとしてない。力を出し惜しみする理由も無い。
「協力してくれるよね、二人共」
シャーリーは静かに、だが力強く言った。
目は口ほどに物をいう。
希望と力に満ちた視線は、ノアとカエデの心を既に射抜いていた。
「もっちろんです!」
「当然だ」
二人は微笑みながら力強い返事をする。
薄暗く、誰も使っていなかった空き部室で、三人は固い握手を交わす。
未来は見えない、だからこそ創る甲斐がある。
シャーリーは、薄暗い部屋の隅にある、巨大な機械を見て決意を新たにした。
……ちなみに、イツキはあの後事情の説明に3日を要したという。
※話の最初に戻る
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